EYEVAN

 


 

EYEVAN × KYOTO
interview 6

「今も変わらない、截金が好き」
大塚華仙(京都市山科区)
截金という工芸を知っている人はそう多くないだろう。そして截金で装飾されたものを見ると、その美しさ、技法の細やかさに息を飲む。大塚さんは25 歳で独立。截金作家としての側面を持ちながら、職人として数多くの仏像や工芸品に截金を施してきた。截金の世界に惚れ込んでこられた大塚さんに、その魅力についてお話を伺いました。
截金について
金箔を細く切って貼る截金
截金は「金を断ち切る」って言う意味なんです。竹で金箔を細く切って、線状にします。筆先を湿らせて、その金箔をとる。もう一本の筆には、「三千本膠」という膠と「布海苔」と言う海藻を混ぜ合わせたものをノリにして、筆に少しつけて貼っていきます。

截金との出会い
自分で考えてきたからこそ
截金との出会いのきっかけは、小学生の頃に通い始めた仏像彫刻教室。年月が経って、彩色という仏像に色をつける仕事を始めて、その中で截金というお仕事に出会いました。多くは独学で習得しました。一人でやってきたので、自分で答えを導き出すまですごく長い時間がかかるんですよ。でもその間に色んなことを試しているから、答えは確実なものになってきたと思います。だからこそ、截金を習得できたのかなと思います。
継承について
長く残るものをつくる
截金の需要はあって、やりたい人もいると思うのですが、私自身、人に教えることがとても苦手。
截金に関わるところだと、仏像の文化が今後どうなっていくのかは気になりますね。海外に比べて日本人は信仰心があまりないでしょう。でも、截金ってお寺の仏像だけでなく、いろんなことができていくと思うので、截金自体は今後も残っていくと思います。身近だけどずっと残してもらえるようなものを作りたいですね。
譲れないこと
手を抜かない
いつも手抜きしないでいようと思っています。例えば格子の模様を描くとき、間に截金を一本入れるだけで雰囲気がとても細かくなるんです。それを一本増やすか増やさないか悩んだ時は増やします。私はたくさん作ってる中の一つかもしれないけど、受け取る方にとっては一つだけなので。
伝統とは
古いことをしている感覚はない
私は家業ではなかったから、始めた頃から截金を伝統と思っていなかったんですよね。新しいことでもないんですけど、古めかしいことをしているっていう感覚は今でもないんです。
仏さんに截金をしてるのも、どこかちょっと新しいのかなって思うんです。毎回同じ仕事をしてても、常に新しいことをしていこうと思っています。